ざわつく声。
その声の先に
裕等を囲み人ごみができている。
誰も止めようとしない。
そう。これがこの街のやり方。
ー他人には干渉しない。ー
もし止めたりなんかしたら
自分の命が危ういから。
やけど
何が起きてるかは気になる。
興味本位な野次馬だけが人ごみを作っている。
冷たい目。
感情さえないその目に映るのは
うな垂れた男の姿。
男にまたがり殴りつけている裕。
口元が切れ失神状態の男。
「やめろって。」
「裕 離せや。」
裕を押さえ込もうとする博貴と章大。
「止めんなや。」
二人の手を振り払おうともがく裕。
「俺等がとめな誰がとめんねん。アホ。死んじまうで。」
必死に裕の腕を掴む章大。
「いいかげんにしいや。裕。ほんまに殺しっちまう。」
同じく裕の腕を相手の男から離そうとする博貴。
「離せや。」
冷たく言い放つ裕。
その目は冷たく凍り付いている。
博貴と章大の手を振りほどく。


