月明かりだけが裕と信五を照らす。 冷たい風。 壁にもたれる裕の横に座る信五。 煙草をくわえライターを探す裕。 ポケットからライターを取り出し 裕の煙草へと火を差し出す。 煙草に火をつける裕。 「毎回、わりぃな。」 「いいって。」 素っ気無く答える。 「記憶ないねん。人殴ってる間の記憶があらへん。」 月に手をかざす裕。 「蛙の子は孵るってこういうこと言うんやな。」 苦笑いをこぼすが目は笑っていない。 物思いにふけるように煙草を吸う裕。