「ありがとう、タク。そう言って貰えて、本当に嬉しい」
「じゃあ、一緒に行くか」
「行かない」
行かない。
拓海。
私は、行かないよ。
「やっぱりな」
タクは当然だ、という顔をして私を見ている。
その顔は私の答えをしっかり予想していた顔で。
結局自分で結論出してるんじゃない、と言ってやりたい気分になった。
「アミが仕事頑張ってるの知ってるし、それに責任持ってるのも知ってるよ」
「うん」
「でも、言いたかった」
「タク・・・」
「お前に信じて欲しかったんだよ。大事にしてるって」
大事にされてる『自覚』がない訳じゃないのよ。
大事にされてる『自信』がないだけで。
でも、自信が持てた。
言葉だけでは不安や自信のなさを埋めることは出来ないかもしれない。
でも、こんなに真っ直ぐ私見つめるこの人の声と瞳があれば大丈夫。
何より。
抱き締める腕から、身体全体で『大事にしてる』と伝えてくれるこの人を。
信じるしかないじゃない。
優しくて、そして狡くて、とても素敵だと想った。
言葉にするのが、とても下手な人。
そしてそれを行動にするのも、とても遅い人。
良く言えば慎重派。
悪く言えば優柔不断。
そんなこの人を好きになったのは、紛れもなく自分で。
そんなこの人だから、たまに正直になってくれるこの瞬間がたまらないのだ。

