************




誰だ?

俺の腕の中にいるのは。



こんなに女を全開にしたアミを、俺は初めて見た。

こんなに子供みたいなアミを、俺は初めて見た。



いつだって感情をむき出しにしているが、涙を流すことでこんなにも女らしい顔をするなんて。

俺は知らなかった。

驚いて未央を見ると、ふるふると顔を横に振っていた。


未央も知らなかったみたいだ。

こんなアミが、隠れていたなんてことを。




拓海の前では、いつもこんな顔をしてるのか?

いや。

アミのことだ。


ギリギリまで隠して、爆発する時にならないとこんな顔は見せないんだろう。






今日の昼間。

拓海から電話があった。


アミに説教をしたすぐ後の着信で。

確実にアミの電話に出なかったんだ、ということが分かった。



案の定、オフィスに戻ってきたアミの顔は沈んでいて。

拓海のせいだというのが、手に取るように分かった。




――――――普通なら、面倒くせぇとか想うんだろうな――――――




拓海とアミのためなら、なんだってしてやる、と想うのは。

俺がそれだけ拓海を大事にしてるからなのか。

負い目があるからなのか。



どちらにせよ。

何とかしてやろうという気持ちで、拓海の電話を受け取った。