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「おはようございまーっす!」


「おう、おはよう。今日も元気いいな、高田」


「うふふ~、大崎さんってば褒め上手~」


「そうだろ?じゃあ、今度デートな」


「またまたぁ~、大崎さんモテるんだから他の子当たって下さいよ」


ボカッ!


「いったぁーーっ!!!ちょっと!何すんのよ!」


「朝からお前がうるさいからだろーが」


「だからって殴ることないでしょ!カズのバカ!」


「はいはい。いいからこっち来い。お前いないと話にならねぇわ。ってことで、コイツ連れて行きますんで。あんまりからかわないで下さいね、大崎課長」


「はいはい。お目付役は怖いなー」




うちの会社の朝はウルサイ。

でも、これがないと一日が始まらない気がする。



柔らかいくせ毛の髪を、嫌味なく切りそろえた男。

鼻の下と顎に、綺麗に整えられた髭があつらえてある。



大崎翔吾
(オオサキ ショウゴ)。

35歳、独身。

うちの部署の課長をしている。

イベントに携わっているだけあって、かなり若い。

犬みたいなくりっとした目に、大人っぽい髭というアンバランスさが、大崎課長の魅力だと私は思う。




「お前、大崎さんの言ったこと真に受けるなよ」


「受けるわけないじゃん。それに、ワイルド系はこのみじゃないから」


「そうだよな。俺みたいな顔が好みなんだもんな」


「違うっ!!!断っっじて違うっっ!!!私の好みは拓海だから!!!」


「はいはい、わかったよ。可愛くねーな、お前は」