「ねぇ、タク。来月のうちのイベント来れそう?前からタク楽しみにしてたじゃない、私の仕事場に来るの。カズもいるし、時間作れるならおいでよ」
「あー・・・、そうだなぁ。明日会社に行って、確認してみるよ。スケジュール・・・詰まってると思うから」
「・・・だよね。ま、無理しないで」
「おう」
藤澤拓海
(フジサワ タクミ)
28歳。
通信機器メーカー、システムエンジニア。
プログラムの正確さはもちろん、営業にも定評がある。
それもそのはず。
驚くほど綺麗な顔をした、その甘いマスクは。
男も女も、タクを振り返らずにはいられないだろう。
大学時代からの親友であり、今では一番分かりあえる大切な恋人だ。
「みぃちゃんも来るってよ?嬉しいでしょー、タク」
「お前、まだ根に持ってんのかよ」
「何よ、悪い?どうせ嫉妬深いですよ、私は」
「もういいだろうが。去年カズと結婚したんだから。今じゃ立派なママだぜ、アイツ」
「そーですねー。未央(ミオ)ちゃんはしっかり者の可愛い奥さんですねー」
カズというのは、拓海の双子の弟だ。
藤澤和美
(フジサワ カズミ)。
ちなみに同じ会社の同じチーフ。
勝気で、強気で。
いわゆる『俺様』だ。
一卵性双生児ということもあって、顔は驚くほど似てる。
そして、二人とも信じられないくらい綺麗。
何か、例えようもないくらい。
この人たちに囲まれる私が可哀相だ、と想うくらい。
本当に、綺麗。