「じゃあ、アミさんお疲れ様です」


「お疲れ様。気を付けて帰るんだよ」


「アミさんこそ。あんまり遅くなるといいことないですよ」


「そうねぇ。ま、あかね程の危険はないから大丈夫よ」


「はぁ・・・。じゃあ、お先に失礼します」


「はい。お疲れ様」




呆れたような顔をして、あかねは帰って行った。

何がそんなに不思議だったのか、理解に苦しむけれど。

本能的にあかねには逆らっちゃいけない気がしてる。

うん。




事務所にはもう人は残っていなかった。

電気がついているのは、うちの部署だけになっていた。




ということは、必然的に最後の一人って訳だ。



一人の残業には慣れていて、いつもこんな感じだ。

ま、カズや大崎さんが残ってることが多いから一人の時は少ないんだけど。




もうすぐ日付が変わる。




結局、タクからの電話はきていない。




今日一日、何度携帯に目をやっただろう。

こんなにも触ることなんてないのに。

仕事に集中しているつもりでも、鳴らない携帯が気になってしまって。

結局、はかどらなかった仕事を今の時間までする羽目になっている。




「何やってんだろ、私」




仕事は仕事で割り切っているつもりでも、どこか繋がっているんだな、と。

こう言う時は、嫌でも実感してしまう。