「確かに俺は千だ……。


 お前たちの敵となるだろう」

声は柔らかく優しいのに言っていることはあたしの胸に突き刺さっていく。


なんだか、悲しい……。


「“伝説の鈴”は、俺が貰う……」


伝説の鈴……?


「それは、鈴姫の生まれ変わりのお姉ちゃんが、それをさせない!」


冷たく言う千の言葉にゆきなが噛みつくように反論する。


「鈴姫……の生まれ変わり……だと?」


「伝説の、鈴……ミュ?」


「?!なんのこと?」


3人の話についていけないのはあたしだけ。


「まぁいい。いずれまた、会うだろう……」


「まてっ!!」


千はふわりと宙に浮いた。

さっきまで千に見とれていたゆきなの怒号が飛ぶ。

しかし瞬きをする合間に彼は、ぱちん!と弾けて消えてしまった。


なんだったの……?

忠告しに来たのかな……。

それにしても、さっき様子がおかしかった……。


「くっ……!逃げられた……!」と二人は悔しそうにしているのに、あたしは千のことが気になって仕方がなかった。


ずっと強く鼓動は打ち付けている。

『鈴姫……の生まれ変わり……?』

そう言ったときの驚いたような彼の顔が忘れられない。


なんだろう……。












悲しい…………の…………。