鈴姫伝説





あたしは床にしゃがみこんだ。




血がまだ止まっていないのか、呼吸の浅い千は目さえも開けようとしない。



煤で黒く汚れてしまったキレイな頬を撫でた。





「千……」




大好き、だよ。




その想いを込めて。



その形のいい唇に自分の唇を重ねた。



周りなんか、気にしないで。




時間が止まったように感じた。



大好き。



ずっと、ずっと言えなかった。




あなたは敵で、戦わなきゃいけなくて。



苦しくて、辛くて、切なくて。



初めての恋は戸惑ってばかり。




苦しいけど、切ないけど、この想いは本物なんだってわかることができた。




あなたがくれた、この大事なキモチを。



今度はあたしが伝えたい。



結ばれなかった鈴姫の分も。



今まで、伝えられなかったこの愛しさを。





だから、目を開けて?



あなたはあたしが守るから。




千────……。