だか、そんなものはあたしたちにかすりもしなくて……。






一瞬のうちに銀さんの陰陽師の術であたしたちの周りに結界が張られた。





しかし、間に合わなかった矢や短剣は、あたしたちを襲った……。






「ナイス、エク!」







けれどそれも、エクの蔦に全て絡め取られていた。





ゆきながエクを誉めたので、エクは真っ赤になる。







「か、カワイイ……」





「カワイイって……こんなときに……」





エクが真っ赤なまま、笑ったあたしを睨んだ。





ゴメンナサイ。





「早く先に行け。




オレたちがここを引き受ける!」







エクが一人の天使を蔦で締め上げると、叫んだ。






「僕たちに構わずに!」






銀さんもお札を式神に変え、天使たちを攻撃した。







「ッ、ありがとっ!」






あたしは後ろを向くと、一心に走り出した。







「頼んだよ、アンゼリカ、ナディーン、銀さん、エク!!」







ゆきなは、あたしを守るようにして、後ろをついてくる。








「ホワイトアウト!」









ゆきなが叫ぶと、凄まじい吹雪が、あたしたちを襲った。






目眩ましだ。





あたしたちの前にだけ、道が出来上がる。






みんな、気を付けて……。







あたしとゆきな、ロイルは大きな城へと繋がる階段を駆け上がった。