──ドガァッ!!



「っっ!!」



一瞬油断した隙に魔物の腕が、あたしを捕らえかけた。

咄嗟に横に逃げた。

魔物の腕は惜しくも宙を切る。



けれど、危なかった……。

あと少し遅かったら、あの蛇のように動く腕に捕らわれてた。



「っ、はぁはぁ……!」



身体がダルい……。

くっ……。

なかなか魔物の動きが止められない。

これじゃ封印が……!

どうしたら……!!



──パキィッ!!



「グアッ、グアアッッ!!」



何かが割れる音が辺りに響く。

ふわりと冷たい風が頬をくすぐった。



魔物が冷たく煌めく氷に囲まれていた。

その氷のせいで身動きが取れない魔物。


氷が飛んできた方へと視線を送った。

そこには、誰かが静かに佇んでいる。

黒くて長い髪が、再び流れてきた冷たい風にさらわれた。



あなたは…………。