鈴姫伝説







──ガサガサッ!!




近くの木が大きく揺れた。



なに?



そこに何かの気配を感じる。




とてもとても大きな生き物。




『ヴオォオオオオッ!!!!』




空気を振るわせるほどのその声は、地面から出ているようだ。


それは見たことのない、黒く歪んだ姿をした、まさしく“魔物”だった。


異様な香りを放つそれは、気分を悪くさせる。



『うぅ……』



『鈴!!』




千は素早い早さであたしを抱き締め、見えないようにあたしを隠した。


一瞬であたしの視界は彼の服に阻まれる。


汗の匂いと、千の懐かしい匂いが鼻孔をくすぐった。



これが、魔物だ。


言われなくても分かる。


ドクンドクンと心臓の音が大きく感じた。



ジワ……と手に汗が滲む



辺りには、多くの人がいて、叫び声が庭中にこだました。