千は黒いコートを翻して、空へと高く舞い上がった。



ダメ!!










「待って!何て言ったの!?」





けれども彼は目の前に突如現れた闇の中に吸い込まれていってしまった。




伸ばした手は彼に届くことはなくて……。





その場にヘタリと座り込んだ。








あたし……さっきキスしてしまった……ような。




しかも千と。



唇が当たっただけだけど……。



思い出すと顔が赤くなった。



火が出そうなくらい熱く火照っている。


あぁ、どうしちゃったの。


こんなに切なくなるのはなんでですか。



苦しいくらい胸が締め付けられる理由を誰が……。














「教えてよ……」