「お前が桃花ちゃんと別れるなら・・・俺が・・・もらっちゃうよ?」

え?もらう?どういう意味?

「奪われたくなかったら、俺の家に来い。もちろん制限時間はあるよ?一時間あれば十分だよね?」

そう言った愛空くんが怖く見えた。涙を流しながら笑っていた。

「じゃあ待ってるね?別れる気がないならちゃんと来てね?俺んちに桃花ちゃんがいるから」

そう言ってスマホを耳から離した。

「桃花ちゃん。俺かっこ悪いよな・・・」

愛空くんは涙を流し始めた。

「愛空くん・・・・泣かないで?」

「桃花ちゃんは優しいよな。俺・・・こんな・・・すげぇかっこわりぃ・・・」

愛空くんは目を細めて眉を下げて、いった。

「愛空くんは私の背中を押してくれた。だから隆太くんの家に言って少しでも話すことができた。だからかっこわるくなんかないよ」

「桃花ちゃん・・・」

愛空くんは目を見開いて、私を見る。頬にこぼれた涙が光る。

「桃花ちゃん。外で待ってな。隆太。必ず来るから。な?」

「うん。ありがとう愛空くん!これからもよろしくね」

「ああ。いってらっしゃい」

「うん!」

私は愛空くんにまた背中を押されて、靴を履き外に出る。

歩道橋に上り、隆太くんを待ってみる。来るのかな。



でも、何分たっても来なかった。必ず来るって・・・。私は泣き虫だな。気づけばまた泣いてる。

そのとき私は温かい何かに包まれた。

「捕まえた」

私は振り返った。

「隆太・・・くん」

「桃花。俺が間違ってた。ごめん。絶対離さないって決めたから。もう離さない」

隆太くんはそう言ってくれた。本当に嬉しかった。