「いいよ。私ひとりで行かせて?」

「え・・・でも・・・」

「お願い」

私はけんちゃんに微笑んだ。

「わ、わかった・・。桃花スマホ持ってるか?」

「うん、持ってるよ?」

「俺、機種変えたからさ、連絡先交換しようぜ?」

私は頷いてけんちゃんと連絡先を登録し合った。

「なにかあったらそれに電話して?じゃな!」

けんちゃんは笑って走っていってしまった。

「ふうー・・・よし」

私はバックを持って再び歩き出した。もちろん・・・・亜子の家に。

もう家には戻らない。

数分あるいて、亜子の家の前まで来て、インターホンを押す。

「はいはーい!」

少しで亜子は出てきた。

「げっ・・・今日のためにそんなに持ってきたの?」

亜子が苦笑いで問いかけた。

その、荷物で思い出した家での出来事に、また涙が出てきた。

「うっ・・あこおおお・・・うわぁ・・」

「え!?なんで!?なんで泣くの!?」

私はとりあえず「上がって」と言われて、家での出来事を全て話した。

「そっかあ。それで家を出てきたわけね」

「はい」