「先生。お願いします」

俺は、保健室の先生に桃花を渡す。

「これは大変ね。早く寝かせないと。でもこれから校長室にいかないといけないの。呼ばれてるから。たぶん、ひどい貧血ね。あなたそばにいてあげて?」

「はい」

そう言って保健室の先生は出て行った。保健室で二人きりとかやべぇだろ。

校長室か。長くなりそうだな。そんなことを考えながら数分。

「ん・・・っ・・」

「どうした?苦しいのか?」

「りゅ・・う・・たく・ん。み・・ず。み・ず。水」

「水か?待ってろ」

俺は保健室からコップを持って、廊下の水道へ走った。

-ジャァー。

水をコップの半分いれて持っていった。

「ほら。飲め」

俺はコップを差し出す。

「の・・ませ・・て。座る・・ことも・・でき・・ないの」

「座ることもできないんならどうやって飲むんだ・・・よ。あ・・・。桃花。口移しでいいか?」

桃花はゆっくりと頷いた。

「口・・・ちょっとだけ開けて」

桃花は小さく口を開いた。俺は水を自分の口に入れた。そして桃花に顔を近づける。

唇を重ね、俺はゆっくりと水を桃花の口の中に流し込む。

口を離すと、桃花はゆっくりと飲み込んだ。なんだかそれが恥ずかしかった。

「おいし・・・」

桃花は微笑んだ。

「ねぇ・・・ちょっとだけ・・寝てもいい?」

「ああ。ちゃんと戻って来いよ。動けるようになったら、メールとか電話して。いいな?」

俺は片手にスマホを持って見せた。

「うん・・・」

桃花はゆっくりと目を閉じた。桃花はすぐに眠った。俺も行くか。

-チュッ。桃花の頬にキスを落とし保健室を出た。