私はそんな父の言葉にビクッと肩が震える。
「お父さん・・・聞いて。私お母さんに、あんたなんかいらない、出てけって言われたの。それだけ。出てけって言われたから出てきただけよ!」
『なんだと!?お母さんがそんなこと言うはずないだろ!ふざけているのか!』
「ふざけてなんかない!本当のことを言っただけ。だから・・放っておいて・・」
『いい加減にしろ!戻って来いよ!?いいな!?」
そこで電話が切れた。
私は電話が切れたのと同時に涙が溢れた。そして、膝から、地面に座り込んだ。
「うっ・・・ううっ・・・」
私が太陽に照らされながら泣いていると、突然声が聞こえた。
「桃花!?なんで泣いてんだぁ?」
「け、けん・・ちゃん・・?」
私は、坂本健介(サカモトケンスケ)の姿を見て、さらに涙を流した。
「うーっ・・・」
「お、おい泣くな!桃花どこ行こうとしてたんだよ!?こんなに重いもん持って」
「亜子の家・・・うっ・・ひっく・・」
「亜子?ほら立て。荷物運んでやっから。」
けんちゃんは優しい。それは昔から知ってる。私はそんなけんちゃんにいつも甘えてきた。
「何してんだよ?行くぞ?」
そう言って手を差し出すけんちゃん。私は今、ひとりで行きたいの。