桃花side*

それからいろいろあって楽しかった夏休みも終わり。今日から新学期。隆太くんと付き合ってるのバレなきゃいいな。女の子の恨み買っちゃうからな。

始業式が終わり、宿題を集め、昼休みになる。

「大沢さん。ちょっといいかしら?」

横を向くと、ニコニコしたクラスのリーダー格の女の子が一人と隣に女の子が二人。

「はい?」

「きていただけます?お願いがあって・・・」

「うん。亜子、ちょっと行ってくるね」

「わかった・・・」

亜子は不機嫌だった。なぜかはわからない。

なんだろう。女の子についていく私。私の後ろには2人の女の子。なんで後ろにいるんだろう。着いたのは体育館。ここになにかあるのかな?探し物とか?それなら協力しなくちゃ!

「大沢さん。実はあたしここにノート隠されちゃったの。たぶん体育館倉庫か舞台裏だとおもうんだけど、倉庫見てきてくれないかな?」

「うん!いいよ!」

「優しいのね!ナツミのノート探してくれて!」

後ろの女の子が言う。そっか。このリーダー格の子、早川ナツミ(はやかわなつみ)か。

私は二手に分かれて探すことにし、一人で体育館倉庫に入った。

体育館倉庫は窓がない。電気もない。だからいつも扉が空いている。朝でも閉めれば真っ暗だ。

ここにはないな。奥かな。奥に移動する。ガサガサとしていると突然、視界が真っ暗になってなにも見えなくなった。あ、私・・・暗いとこ苦手。やだ。怖い。

手探りをたよりにドアまでたどり着く。そしてドアを叩く。

「開けて!お願い!開けて!」

「は?自業自得じゃない。あんたが隆太くんにつきまとうからよ!」

「つ、つきまとってなんか・・・」

「付き合ってるんでしょう!?あたしは隆太くんが好きなの!あんたよりも!」

「・・っ・・」

「ほら、図星じゃない!あんたはここにいるのがお似合いよ!今日は体育館を誰も使用しないわ!残念ね。じゃあね」

行っちゃうの?開けてよ・・・。