「・・・っ・・それで・・ロビーに・・行ったら・・旅館の女の人と・・き、キス・・してた・・ううっ・・私・・・捨てられたんだ・・一人で浮かれて・・バカみたい・・。ううぅ~」

桃花の泣き声と言ったこと。

「隆太くんのヤロー。潰す」

「おい、亜子怖いぞ」

「桃花を傷つけた罰よ!」

「わ、私寝るよ」

「大丈夫?」

「うん。また明日ね。おやすみ」

「わかった。おやすみ」

俺は桃花が出てくると察知して部屋に入り、布団を深くかぶった。

「りゅ・・うた・・くん・・?」

俺はその声に胸が苦しくなって返事をしなかった。

「寝ちゃったんだ。泣こうかな。・・・・っ・・ふぇえ・・」

桃花が泣き始めた。頼む泣かないでくれ。苦しい。

「うわぁん・・・ふえっ・・うぅ~」

パタパタと、涙がシーツにおちる音がした。くそっ。我慢できねぇ。

「桃花っ」

俺は桃花を抱きしめた。

「隆太くん・・・お、起きてたの・・?」

「桃花・・聞いてくれ」

「嫌。なにも・・ききたくない・・」

「桃花」

俺は桃花を見つめる。

「ちょっとだけなら・・聞いてあげる」

桃花が苦しげな声で言った。

「桃花・・・。あのお前が見たキスはあの女からしてきたんだ。俺は、桃花がいるから他のヤツとはなにもしないって決めたんだ。あいつは昔の遊び友達で・・・キスしてきたんだ」

「うそついても私はだまされ・・「嘘じゃない!」

俺の大きな声に桃花は黙ってしまった。

俺は胸が苦しく締め付けられて泣きそうだった。

「信じて・・くれよ・・くっ・・」

俺の目から涙がこぼれた。我慢できなかった。

「隆太くん。泣かないで。わかったから。もういいから」

顔を上げると桃花は微笑んでいた。

「こんなこというのも変だけど、何があっても、私を、離さないって約束してくれる?」

「あたりまえだ」

俺は桃花をきつく抱きしめ、優しく唇を重ねた。