全然痛くねえ。かわいすぎだろコイツ。

それから風呂でからかったり明日のこと話したりしてみんなと過ごした。

着替え終わって桃花を待っていた。おせぇな。ま、桃花のためなら待ってやるけど。

ロビーのソファーで待っていると一人の女が歩いてきた。貸切だから客ではない。旅館の人だろ。

「りゅう・・た・・?」

俺は名前を呼ばれて目を開ける。その旅館の女がこっちを見てたっていた。

「理恵・・・」

俺はヤるだけの友達だった、琴山理恵(ことやまりえ)を見た。

理恵は俺の隣に座った。俺は気づかれないように少しずつ離れる。

「どうして離れるの?」

「俺は女遊びはやめた」

俺は今は桃花一途だから。

「あたしは隆太にとってなに・・?」

今にも泣き出しそうな理恵。

「は?決まってんだろ。『ヤるだけの友達』だよ?」

「そんな・・・あたしは隆太が本気で好きなのに」

「んなもん、知るかよ」

「キス・・・して」

理恵から出た言葉。できるわけねえ。桃花以外とは何もしない。そう決めた。

「無理」

俺は立ち上がって桃花を迎えに行こうと思った。

すると立ち上がって俺の首に手を回して顔を勢いよく引きつけ唇を合わせた。

コイツ。思った以上力があって引き離せなかった。なげえよ。苦しくなってきた。

-ゴトッ。ゴトッ。

柱の影でそんな音がした。音と同時に理恵は唇を離した。

俺は理恵を突き飛ばした。そして口を拭った。

「近づくな」

そう理恵に言い残してそこを去った。桃花に合わせる顔がなかった。このことを知ったらどうなるか。

柱の影にさしかかると、ペットボトルに入った冷たいミネラルウォーターが二本落ちていた。俺はそれを拾い上げた。

そしてそのまま部屋に向かった。

隣の部屋から聞こえる声。亜子と桃花と健介の会話。俺はドアに耳を当てた。

俺はその会話に耳を疑った。