有無を言わさぬ口振りに、俺は黙って頷くしかない。


「良い子です。」


よしよし、と頭を撫でられる。

また、子供扱いだ。


「サービスと言うからには、あんなことや、こんなこともしていただけますよね?」
「あんなことや、こんなこと?」
「言わせるおつもりで?」


意地悪く笑う顔を見て、何を考えてるのか、大体予想がつく。


きっとろくでもないことだ。



「何でそんなこと……」
「おや?夏紀様はお詫びの一つも出来ない坊っちゃんだったのですか?」


こ、こいつは~~~~!

「そんなことない!」
「じゃあしてくださいますよね?」


高槻は顔を近付けて、自分の唇を指差した。

キスをしろという合図。

「ほら、夏紀様?このぐらい簡単でしょ?」
「お前、本っ当に性格悪いな!!」
「ええ、悪いですよ?何度も言っているでしょう?ですが、全ては夏紀様のせいなのですよ。」


そう囁く俺の執事は、今夜も意地の悪い笑みを浮かべるのだ。



――end――