「いっ、なにすんのさ!」

「うっさい」

真っ赤な顔。元が白いからわかりやすい。
ここまで感情を露わにする千葉は初めてだ。

いつもよりも愛おしく感じた。

「んなの言われなきゃわかんねえよ!」

「わかってほしかったわけじゃないもんね。ただ、君は黙ってシてくれればよかったんだよ」

「……他の男とヤったのも、もしかして」

「そうだよ、お察しの通りだよ! 妬いてほしかっただけだよ!
あぁもう、笑ってよ、情けない!」

……なんだよ。わかりやすいな。
少しにやけてしまった。

「やっぱ笑われるのは嫌だ!
だいたいね、すーちゃんがもうちょっと私に愛を伝えてくれてたらこんなことにはならなかったのに!」

「……」

確かに、こいつの言うことも一理ある。
俺がもっと早く伝えていれば、もっとケンカも少なかったのかもしれないし、千葉の悩みも減ったかもしれない。


「俺はお前が好きだ。それだけを信じろ。
例え他の男とヤろうが人間のクズのような奴だろうが、お前が俺を拒絶するまでは絶対に隣にいるから」

「ーー!」

初めて自分から千葉の唇にキスをした。
千葉は何かを言おうとしていたが気にしない。

恥ずかしくて顔が熱くなっていくのがわかる。心臓もこれ以上ないほどにうるさい。
千葉も同じなら嬉しい。



少ししてから口を離した。
千葉は顔を真っ赤にしたまま静かに泣いていた。