ぎゅっ 左手に手を重ねられた。 俺は思い出から現実に戻ってくる。 隣にいるのは千葉だ。 落ち着いていて、素直な、可愛い千葉。 「ごめんなさい。手、握ってもいいですか?」 もうすぐ映画が始まる。 「ホラーは好きなんですよ。ドキドキしたりとか。でもやっぱり怖いんですよね」 素直な千葉に今更ながら違和感を抱きつつ、千葉の手を握ってスクリーンに集中した。 ……やっぱり、違うなぁ。