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「これすっごく怖いらしいんだ。一緒に観ようよ!」
そう言いながら目を輝かせ、千葉はDVDを準備した。
俺はホラー映画を怖いと思ったことはないし、特に興味はなかった。
ただ、千葉がすごく観たそうにしていたから、了承しただけだ。
「……!」
「……!」
ソファに隣り合って座る。
怖いシーンに入ると、千葉の体は毎回跳ねた。
声は出さないように抑えてはいるけれど、横にいる俺には怖がっていることがバレバレだ。
「お前、大丈夫か」
「は!? 大丈夫に決まってるじゃん!」
声で焦っていることもばれたぞ。
「怖いなら消してもいいんだぞ」
「なな、何言ってんの? 私が怖いだなんて!
あ、わかった。すーちゃん怖いんでしょ? 大柄だけどヘタレだし情けないもんね。 手繋いであげようかー?」
「……」
本当にこいつは面倒だ。
千葉は、基本的に欲求をそのまま訴えることはしない。
回りくどく、軽口を織り交ぜてくる。
今のだって、きっと手を繋ぎたいという意味だ。
感情的にさえならなければ、この上なく分かり易い奴かもしれない。大輔の言うとおり。
俺が意図を汲んで千葉の手を握ると、千葉は俺の肩に頭を乗せてきた。
あいつの甘え方は本当に可愛いと思う。面倒だけど。
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