クズ系彼女

「……た」

「た？」

「足りるか！」

「な！」

千葉に無理矢理唇を奪われた。
甘い空気なんてありはしない。

「外で何すんだよ！」

「期待しちゃったんだよ！ 目つむれなんて言うから！ そしたらデコチューって、ほんと、あんたどんだけ私を焦らせば気が済むのさ！？」

千葉が半ギレ。
いや、まず俺の精一杯の頑張りを認めろよな！

「少しは性欲抑えろ！ 年中発情期じゃねえか！」

「あんたこそ思春期男子ならそれ相応に興奮するべきだよ！ 寺修行でもしてきたの！？」

「自制してんだよ！ お前と違って理性的だからな！」

「理性の意味わかってんの？ 君みたいな野蛮で鈍感なアウストラロピテクスなんかに使っていい言葉じゃないよ？」

「んだとテメェーー」

順調に進んでいたはずの電車が急停止した。
その衝撃で車内も大きく揺れる。

元から距離が近かった上に、口論中だったので向き合っていた俺と千葉の頭が、思いっきりぶつかった。