まだ薄暗い朝、明李は隣で眠っている櫂が起きたことに気がつき目を覚ました。
「ん…?櫂兄さん…?」
明李の声に気がつき櫂は振り向き、明李の様子に自然と笑みがこぼれる。
「ああ、起こしちゃったね。明李はまだ眠ってていいよ。」
毛布にくるまった状態で起き上がり櫂の声を聞きながらうとうとしていると覚えのある暖かい体温に包まれる。
「あ、櫂兄さんの匂いだぁ…ふふっ、あったかい…」
明李はそのまま櫂の胸に頬を押しあて再び眠りについた。
「おやすみ、僕の可愛いお姫様…。」
額にそっとキスをするとベットに明李を寝かせ、静かに寝息を立てている明李の頭を数回撫で着替えを済ますと静かに部屋を出る。
そして一階にあるリビングへと向かった。
リビングには既に起きていた長男の翔と父の要平が朝食をとっていた。
「翔兄さん、父さん、おはよう。」
「櫂か、おはよう。明李はまたお前の部屋で寝ているんだな。」
「うん、もう僕の部屋で寝るのが当たり前になっちゃったみたい。」
しばらく3人で他愛のない話をしているとリビングの扉が開きエプロンをつけた美智香が入ってきた。
「櫂さん、おはようございます。」
「美智香さん、おはようございます。」
「朝食今作りますね!席で待っててください。」
「いいですよ、僕の分は自分で作りますから。」
席を立ち、キッチンへと足を向ける。
「そんな!ご飯を作るのが私の仕事ですから!」
美智香の朗らかな笑顔を向けられ櫂は言葉を濁すも尚も食い下がる。
「櫂、美智香に作らせてあげなさい。」
そんな2人の様子を見かねた要平が、間に入り笑いながら櫂を説得する。
「…わかりました。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
しばらくすると香ばしい匂いがリビングに漂い始める。
するとその匂いに釣られたかのように三男の凉がリビングに入ってきた。
「ふぁ〜…おはよー」
「凉、今日は仕事何時からなんだ?」
「今日は昼から撮影だけど午前中は大学かなー。あ、美智香さん俺のご飯多めで!」
「ふふっ、わかってますよ。いつも通り多めにしますね。」
「さすが美智香さん!わかってるね!
そういえば櫂兄も翔兄もまだ仕事行ってなかったんだ。」
「今日は遅めでいいからな。明李が起きてきてから出る。」
「僕も明李が起きてから行く予定だよ。」
凉は呆れながら
どんだけ明李が好きなんだよ!と突っ込む。
「そういう凉だって明李が起きてくるの待ってるだろ?」
「うっ…ま、まあな。」
3人の兄たちの会話に美智香と要平は微笑みながら見守る。
そうしている間に明李がリビングへと降りてきた。
「翔兄さん、櫂兄さん、凉兄さん、お父さん、お母さん。おはよう。」
寝癖が少し残る髪の毛を撫でながら家族たちに微笑む。
その場にいる全員の顔に笑顔が浮かぶ。
「おはよう、明李。また櫂のところで寝ていたんだな。」
翔はまだはねている髪の毛を梳かしてやりながら尋ねる。
「うん!櫂兄さんと寝るの大好き!」
「でも明李?あなたも高校生なんだし自分の部屋があるのだから自分の部屋で寝なさい?それに櫂さんも1人の方が良い時だってあるはずよ?」
「えー!櫂兄さんと寝る方が眠れるんだもん…」
「美智香さん、僕は別に大丈夫ですよ。」
「もうっ!櫂さんは明李に甘いです!」
「ははっ、そうですか?」
「そうですよ!」
「まあそのうち明李も自分の部屋で寝るようになりますよ。だよね?明李?」
「うん!」
櫂の言葉に大きく頷き美智香の方へと視線を向ける。
「全く…」
結局美智香は櫂と明李2人に負けてしまい呆れながらも微笑んだ。
「お前たちまだ出なくていいのか?」
要平は翔、櫂に言う。
「そろそろ出る。明李、気をつけて行けよ。」
翔は明李の頭を撫で、微笑む。
「うん!いってらっしゃい、翔兄さん。」
「ああ、いってきます。」
「僕も行こうかな。」
翔に合わせて、櫂も席を立つ。
「櫂兄さんも、いってらっしゃい!」
「うん、いってきます。」
翔と櫂は同時に家を出ると凉も支度を始める。
「ところで明李、新しい学校はどうだ?」
「すごく楽しいです!友達もいい子ばかりで!」
「それはよかった。何かあれば遠慮なく言いなさい。」
「はいっ!ごちそうさまでした。」
自分の使った食器を流しに持っていき、手早く洗い乾燥機にいれると
自分の部屋へ行き、まだ新しい制服に袖を通す。
明李の通う学校は中高一貫校で高校から要平のおかげで編入することができた。
「お父さん、お母さんいってきまーす!」
「気をつけて行くのよ!」
「わかってるー!」
明李が家を出て行くとリビングには要平と美智香が残った。
「明李はもう15歳か…早いものだな。」
「ええ、まさか要平さんと再開できるなんて思ってもいませんでした。」
「私も同じだ。あの頃からきみは私にとって大切な存在だったよ。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
「大学をお互い卒業してから私はずっときみを探していた。そしてやっと見つけることができた…。」
「あなたには感謝してもしきれません…。私はあの時、まだ幼い明李を連れてどう生きていけばいいかわからず、ただ絶望していました。だから要平さんと再開できて救われました。例え他の人から財産目当てなどと言われてもあなたへの愛は変わらない。」
きっぱりと言い切った美智香の表情からははっきりとした意思が伝わってくる。
「美智香…ありがとう。私と再開してくれて、私と結婚してくれて…。」
「ふふっ、こちらこそ、こんな私ですがよろしくお願いしますね。」
美智香の笑顔に要平の顔も緩む。
「要平さん、コーヒーのおかわりいかがですか?」
「ああ、いただこう。」
2人の時間は暖かい光の中ゆったりと流れていった。
「ん…?櫂兄さん…?」
明李の声に気がつき櫂は振り向き、明李の様子に自然と笑みがこぼれる。
「ああ、起こしちゃったね。明李はまだ眠ってていいよ。」
毛布にくるまった状態で起き上がり櫂の声を聞きながらうとうとしていると覚えのある暖かい体温に包まれる。
「あ、櫂兄さんの匂いだぁ…ふふっ、あったかい…」
明李はそのまま櫂の胸に頬を押しあて再び眠りについた。
「おやすみ、僕の可愛いお姫様…。」
額にそっとキスをするとベットに明李を寝かせ、静かに寝息を立てている明李の頭を数回撫で着替えを済ますと静かに部屋を出る。
そして一階にあるリビングへと向かった。
リビングには既に起きていた長男の翔と父の要平が朝食をとっていた。
「翔兄さん、父さん、おはよう。」
「櫂か、おはよう。明李はまたお前の部屋で寝ているんだな。」
「うん、もう僕の部屋で寝るのが当たり前になっちゃったみたい。」
しばらく3人で他愛のない話をしているとリビングの扉が開きエプロンをつけた美智香が入ってきた。
「櫂さん、おはようございます。」
「美智香さん、おはようございます。」
「朝食今作りますね!席で待っててください。」
「いいですよ、僕の分は自分で作りますから。」
席を立ち、キッチンへと足を向ける。
「そんな!ご飯を作るのが私の仕事ですから!」
美智香の朗らかな笑顔を向けられ櫂は言葉を濁すも尚も食い下がる。
「櫂、美智香に作らせてあげなさい。」
そんな2人の様子を見かねた要平が、間に入り笑いながら櫂を説得する。
「…わかりました。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
しばらくすると香ばしい匂いがリビングに漂い始める。
するとその匂いに釣られたかのように三男の凉がリビングに入ってきた。
「ふぁ〜…おはよー」
「凉、今日は仕事何時からなんだ?」
「今日は昼から撮影だけど午前中は大学かなー。あ、美智香さん俺のご飯多めで!」
「ふふっ、わかってますよ。いつも通り多めにしますね。」
「さすが美智香さん!わかってるね!
そういえば櫂兄も翔兄もまだ仕事行ってなかったんだ。」
「今日は遅めでいいからな。明李が起きてきてから出る。」
「僕も明李が起きてから行く予定だよ。」
凉は呆れながら
どんだけ明李が好きなんだよ!と突っ込む。
「そういう凉だって明李が起きてくるの待ってるだろ?」
「うっ…ま、まあな。」
3人の兄たちの会話に美智香と要平は微笑みながら見守る。
そうしている間に明李がリビングへと降りてきた。
「翔兄さん、櫂兄さん、凉兄さん、お父さん、お母さん。おはよう。」
寝癖が少し残る髪の毛を撫でながら家族たちに微笑む。
その場にいる全員の顔に笑顔が浮かぶ。
「おはよう、明李。また櫂のところで寝ていたんだな。」
翔はまだはねている髪の毛を梳かしてやりながら尋ねる。
「うん!櫂兄さんと寝るの大好き!」
「でも明李?あなたも高校生なんだし自分の部屋があるのだから自分の部屋で寝なさい?それに櫂さんも1人の方が良い時だってあるはずよ?」
「えー!櫂兄さんと寝る方が眠れるんだもん…」
「美智香さん、僕は別に大丈夫ですよ。」
「もうっ!櫂さんは明李に甘いです!」
「ははっ、そうですか?」
「そうですよ!」
「まあそのうち明李も自分の部屋で寝るようになりますよ。だよね?明李?」
「うん!」
櫂の言葉に大きく頷き美智香の方へと視線を向ける。
「全く…」
結局美智香は櫂と明李2人に負けてしまい呆れながらも微笑んだ。
「お前たちまだ出なくていいのか?」
要平は翔、櫂に言う。
「そろそろ出る。明李、気をつけて行けよ。」
翔は明李の頭を撫で、微笑む。
「うん!いってらっしゃい、翔兄さん。」
「ああ、いってきます。」
「僕も行こうかな。」
翔に合わせて、櫂も席を立つ。
「櫂兄さんも、いってらっしゃい!」
「うん、いってきます。」
翔と櫂は同時に家を出ると凉も支度を始める。
「ところで明李、新しい学校はどうだ?」
「すごく楽しいです!友達もいい子ばかりで!」
「それはよかった。何かあれば遠慮なく言いなさい。」
「はいっ!ごちそうさまでした。」
自分の使った食器を流しに持っていき、手早く洗い乾燥機にいれると
自分の部屋へ行き、まだ新しい制服に袖を通す。
明李の通う学校は中高一貫校で高校から要平のおかげで編入することができた。
「お父さん、お母さんいってきまーす!」
「気をつけて行くのよ!」
「わかってるー!」
明李が家を出て行くとリビングには要平と美智香が残った。
「明李はもう15歳か…早いものだな。」
「ええ、まさか要平さんと再開できるなんて思ってもいませんでした。」
「私も同じだ。あの頃からきみは私にとって大切な存在だったよ。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
「大学をお互い卒業してから私はずっときみを探していた。そしてやっと見つけることができた…。」
「あなたには感謝してもしきれません…。私はあの時、まだ幼い明李を連れてどう生きていけばいいかわからず、ただ絶望していました。だから要平さんと再開できて救われました。例え他の人から財産目当てなどと言われてもあなたへの愛は変わらない。」
きっぱりと言い切った美智香の表情からははっきりとした意思が伝わってくる。
「美智香…ありがとう。私と再開してくれて、私と結婚してくれて…。」
「ふふっ、こちらこそ、こんな私ですがよろしくお願いしますね。」
美智香の笑顔に要平の顔も緩む。
「要平さん、コーヒーのおかわりいかがですか?」
「ああ、いただこう。」
2人の時間は暖かい光の中ゆったりと流れていった。
