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「そういえば、この間発売されたアルバムね……」



「えっ、桃花あれ買ったの? いいなぁ、あたし最近金欠でさ……」



都築くんに資料運びを手伝ってもらったあの日から、1ヶ月。



今は梅雨入りの時期の6月。



あのあとは特になにもなく、あたしは平凡に学園生活を送っていた。



お昼ごはんのあとでとっても眠くて、今は親友の藤岡 美奈【ふじおか みな】ちゃんとのびのびおしゃべりしている。



この間親切にしてもらったことを思い出し、あたしはふと都築くんを見た。



やっぱり、女の子たちに囲まれている。



クラスのほとんどの女の子が都築くんのいる方へ集まっているようで、クラスの男子たちは羨ましそうな目で都築くんを見ている。



そんな中、山下さんという女の子が都築くんに話しかけた。



「ねえねえ都築くんっ、明日空いてる? よかったらあたしとデートしてほしいんだけど……」



山下さんは期待をこめた目で都築くんを見ている。



「ごめんね。明日は用事があるんだ」



都築くんは申し訳なさそうにうつむいてそう言ってから、爽やかに山下さんに微笑んだ。