いっしょに資料を運んでいる最中、あたしは周りの目を気にしていた。
チラリとうしろを振り返り、左を見て横を見て前を見る。
「どうしたの?」
あたしの行動のあまりの不自然さに、都築くんが首をかしげた。
「いや、なんでもない!」
そう、都築くんには言ったものの。あたしの不自然な行動には、けっこう都築くんが関係ある。
……都築くんにはファンが多い。ものすごく多い。
なので、こんなふうにふたりきりでいるところをうっかり都築くんファンに見られでもしたら……それはそれは、恐ろしいことになってしまう……。
あたしはハッキリ言って都築くんファンではないので(もちろんキライってわけじゃないんだけど)、余計な誤解をされては困る。
だってあたしには……中学の頃からずっとずっと想い続けてる大好きな人がいるから!

