手を伸ばす。
───サッ!
その瞬間、都築くんがスマホをはるか高くに持ち上げる。
「あの?と、届かないんだけど……」
都築くんの身長は180センチはある。
平均身長のあたしには、都築くんが高く手を上げるとその手には届かない。
「当たり前でしょ。あのこと秘密にしないと渡さないよ」
都築くんは顔を上げ、続きの文章を読みだす。
しかも、すっごい棒読みで。
「可愛い! めっちゃ気持ちよさそうだね。うん、ユキは撫でられるの好きなんだ。いつも撫でろってせがんでくるよ……」
そこまで言ったところで、都築くんはニヤリと笑う。
「秘密にしてくれなかったら、澤上さんが安田と仲いいことみんなに言うよ? みんなそれを知ったら、澤上さんどうなっちゃうだろうね」
「ヒィッ……!」
それは恐ろしい……!