もうそのお兄さんの顔は覚えていないけど、似てる……。
実さんに似てる。
急に思い出した。そうだ。
あたしはお兄さんの名まえをきいて、自分の名まえを教えた。
やっと覚えた自分の漢字の名まえを、地面に指でかいて。
澤上桃花、そうかいた。
『サワカミモモカちゃんっていうの?』
お兄さんはそれを眺めてそう言った。あたしは首をぶんぶんと横にふった。よくそうまちがわれることが多かったんだ。
『ううん、ちがうよ! トウカっていうんだよ!』
『そうなんだ! でもモモカみたいだね。……あ、そうだ! ならさ、モモカちゃんって呼んでいい?』
『うん、いいよ! じゃあお兄ちゃんはミノルくんだからみっくんだね!』

