「やべ、行かなきゃ。差し入れありがとな。……じゃ」



「うん、がんばってね!」



そう言ったと同時に誠はもうグラウンドのほうへ向かっていた。



誠の姿が小さくなったとき、美奈ちゃんが話しはじめる。



「都築のお兄さんってどんな感じなんだろうね。みてみたいなぁ」



「うんうん、気になる!」



あたしはコクコクと首を縦にふる。



……たしかに、ちょっとみてみたいかも。



あたしはこのときそう思っていた。それが現実になるとも知らずに……。