それにしても誠の話術は巧みだ。



あたしの足がはやいなんてウソだ。あたしの足のはやさなんて下から数えたほうが早いのに。



……誠の頭の回転が速いところはホントに尊敬する、のかもしれない。



「……さ、帰るか」



「うん」



誠がゆっくりと歩きだした。あたしはそれにつづく。



「あ、そうだ」



なにかを思い出したように誠がふりむいた。あたりはいつの間にか夕陽がさしていて、ふりむいた誠は茜色の光を身にまとっているみたいだった。



「……手でも繋いでみる?」



誠がフッと笑いながら手をさしだす。



「……っ、え?」



この日。



……あたしたちはつき合ってはじめて手を繋いで帰りました。