「あたし、知ってるのよ。借り人競争のお題の紙になにが書いてあったのか」
「……え?」
先輩の言葉に驚いて声をだしたのはあたしだった。
あ、そういえば……誠は体育祭の日に借り人競争であたしの手を引いて走ったけど……お題ってなんだったんだろう?
思えばあたし、それを知らずに走ってたっけ。
チラと誠をみる。いつもならクールに決まっているはずの顔に、ほんの少しだけどあせりがみられる。
気になる。いったいなんだろう。
先輩は言った。
「あの紙には “愛しの人” って書いてあったの。借り人競争を担当してた友だちに聞いたわ」

