「あーあ、先行っちゃったし。俺たちも持っていこうか」
「そうですね」
「それでさ、なにもなかった?」
「はい?」
突然の沖田さんからの問いかけに首をかしげるとぐっと彼の目が近づいてきた。鼻と鼻がぶつかってしまうほどの距離に離れようとするも後ろは壁で仕方なく彼の顔を見上げる。
「何もされなかった?ってこと。一くんに」
「されてないですけど…なんですか、心配してくれてたんですか?」
「まあね、間違いが起こって一くんに取られるのも面白くないし」
「間違いって…。じゃあ沖田さんとのことはなんだったっていうんですか」
「うーん…なんだろ?でもあの時ちゃんと告白もできたわけだから俺にとっては正解、かな?」
そんなちょっと照れたように言われたら私まで恥ずかしくなってしまうではないか。あの時のことを思い出して瞼を少しだけ伏せると前髪越しに額に唇を落とされた。
「沖田さん…?」
「ごめん、ちょっと耐えられなかった。…行こうか」
沖田さんはすぐに離れて困ったように笑うと武器の詰め込まれた箱を持ち上げた。一拍置いてから頬に熱があつまってきたのを感じて落としかけた箱をごまかすように持ち直した。