酔って半裸になりだした原田さんを見てみんなは慣れているのかあきれたような表情をしている。
腹にある一文字の刀傷を見せびらかしては豪快に笑っていて…これは完全にできあがっている。平助さんと永倉さんも顔をあかくして呂律がまわらないのに叫んでは笑っている。
山南さんと井上さんと斎藤さんは静かに飲んでは食べて談笑している。
あれ?土方さんは…と視線をめぐらせると一人そこを離れていく姿が目に入った。
まさか、仕事でもしにいくのではないかと思い私もこっそりついていく。
どこにいくのかと思ったら玄関の近くで立ち止まっていて私は首をかしげた。
「土方さん?」
「っ!…あぁ、お前か」
「…はい」
うわぁ…と自分の顔が無意識に歪んだのを感じた。
いつもは色白の顔が真っ赤、目はうつろで話し方もどこか間延びしている…すごく酔ってる。土方さん、お酒弱いって話は本当なんだなぁ。
いつもは皺を寄せている眉間も固く結んでいる口許も今はへらへらとゆるんでいる。
「えっと、どうかしたんですか?こんなところで」
「……っく…あぁ、吐きそうだったから来ただけだ」
うっ…と急に口を押さえた土方さんにかけよって背中をゆっくりさする。なんとか耐えているようで前のめりになったままちらりと私に視線をなげた。
戻っていろ、ということだろうか。だが、この状態の土方さんを置いて戻るのも気が引ける。