木刀を片付けていると井上さんに会えたので花見のことを伝えると永倉君たちが騒いでいたのはそれか、と笑った。山南さんには井上さんが伝えてくると言われたので私は勝手場に向かった。そこで待っていると、酒やら魚やらを持った三人組が帰ってきて先にお酒を飲んでしまわないようにおさえるのが大変だった。しばらくすると斎藤さんと沖田さんも帰ってきたので荷物をもって桜のしたに集まった。
「馬鹿お前、んなに酒ばっかり買ってきやがって」
「俺が飲むからいいんだよ!」
「沖田さんは甘味ばかりですね」
「うん、君にもあげるよ?」
「本当ですか?ありがとうございます」
「甘味でよく酒が飲めるな」
「いいでしょ、俺の勝手ですよ」
「おいお前ら、少しは静かにしやがれ!」
「とか言ってる土方さんが一番うるさいんですけどね」
「ああ?」
「わぁ、こわーい」
棒読みで離れていく沖田さんを土方さんが睨むのもいつも通りで皆が苦笑したところで近藤さんが音頭をとった。
「来年も皆で桜が見れるように!今日は皆楽しんでくれ!」
力強くて男臭いぐらいのおぉ!という声が響いてそれからはみんな自由だ。とりあえず土方さん以外はみんなお酒を手にとって喉に通してはたまらないという表情。
私もみんなが買ってきてくれたつまみを食べながら主に永倉さんが買ってきてくれたお酒を飲む。質より量をとったのかそこまでいい酒ではないようだけどそれなりに飲めばいい感じに酔ってくる。
「はい、どうぞ?」
「沖田さん…ありがとうございます」
差し出された皿の上には団子や饅頭やこんぺいとうなどたくさんの甘味が乗っている。お酒を飲むときは普通辛いものや塩分が多く含まれるものが好まれるが、私は甘いものでも全然いける。
団子を一串もらって小さくかじるとほんのり甘さが広がった。