「物置だよ。すごく汚れてて大変だった」
「あそこですか、確かに大変そうでしたもんね」
「うん、でさ、もう疲れちゃったから休んでもいい?」
「うーん…じゃあ自室を掃除してはどうですか?休憩をはさみながらで」
「俺の部屋?そんなのはいいよ、しなくても」
「だめですよ!ちゃんとしないと!!」
思わず大きな声を出してしまって、はっとする。目の前の沖田さんはどうしたのかと目を丸くして私を見た。
「あ、えっと…」
沖田さんはこの先きっと池田屋の後労咳になる。労咳は肺結核だから空気を綺麗にした方がいいのに、掃除をしないと空気は悪いままだし埃がたまっていくなら咳も多くなってしまうだろう。
「じゃあ…私が片付けにいきますよ?」
そういうと沖田さんはまた驚いた顔をしてから苦笑した。
「流石にそれはいいよ」
「でも、」
「じぶんでやるから、大丈夫」
そう言われたらもうなにも言えないけど本当にしっかりやってくれるのだろうか。無意識のうちにじっと見つめているとそんなに心配しなくてもちゃんとやるよと言われた。それならばと頷いて中に戻っていく沖田さんの背を見送る。
後半年くらいかな、労咳の発病は…。それがもし、決められたことだとしてもできるだけ長く健康でいてほしいと願ってしまうのだ。一年近くも一緒にいればやっぱり親身になってしまうし、どうしても新選組の皆に幸せになってほしいと思ってしまうものだ。
目を細めて空を見上げても、太陽は雲に隠れてしまっていた。