「はかどってますか?」
「お、おう…」
「足かけるとか…ずり…!」
「油断してっからだ…っはぁ…」
廊下でへばっているのは平助さん、原田さん、永倉さん。
「まだあるんですからね?」
「わかってるって」
「大晦日だしな。世話になってる屯所は綺麗にしてやんねぇとな」
「働いたあとの酒、頼むな」
「うん」
そう、今日は大晦日なので毎日隊務をしている隊士さんたちで屯所を大掃除です。私は食事の準備をしてからみんなにまざって大掃除だ。
三人は廊下の雑巾がけを誰が一番綺麗にはやくできるか競いながらやっているらしく息がきれている。
私は皿や瓶、膳、桶などのものを外に広げた風呂敷の上において日光消毒させる。いい洗剤のないこの時代はこうするしかない。皿を外の地面、まぁ風呂敷の上だけど、そんなところに置くなんてってここに来たばかりの時は思ったけど慣れたものだ。かわりに、次使うときは全力で洗ってから使うようにしたけれど。
それが終わったら玄関先を竹ぼうきではいて、落ち葉を集めていく。
「あ、ここにいたんだ」
声のほうを振り返るとすぐ後ろで沖田さんが門にもたれかかっていた。
「どうかしましたか?」
「いや、中で見なかったからどこにいるのかなと思って」
「沖田さんはどこをやっていたんですか?埃、すごいですよ」
肩や着物についている埃をはらってあげると何故か満足そうに笑われる。