流石にすぐに行く、というわけにはいかなくて桜が咲いてから、ということになった。それまでは今まで通り雑用をこなしつつ、稽古にも少しずつ参加していくことになった。そして年明けより追加項目として山崎さんによる ゙ 監察方の心得゙。
忙しくなりそうだと思いながらも少し楽しみに感じているのは新選組に馴染んできているという証拠だろうか。
しかし、その前に私はやっておきたいことがあった。
「山南さん、入ってもいいですか?」
「…すみません。今日も教える気分ではないのです」
大坂から帰ってきてからずっと塞ぎこんでいる山南さんのことだ。親しくさせてもらっていた身としてはこのまま放っておくのは気が進まない。
「今日は教えて貰いに来たのではありません。少しお話をしにきました。お茶とお菓子も持ってきたので、開けてもらえませんか?」
「…」
少しの間があってから静かに襖が開いた。
「どうぞ」
「失礼します」
開けてくれてよかった。お茶とお菓子の効果が少しはあったのだろうか?ずっと会えないでいたから山南さんの顔を久しぶりに見た気がする。精神的なものなのか整った顔立ちは少しだけ痩けていた。
「それで、話とは?」
「まず、私は謝らなければなりません」
そう言って頭を下げる私に静かな声がかかる。