「というわけで、これから手伝いをしてれる東條椿君だ。皆色々教えてやってくれ」
「よろしくお願い致します」
信用できる人達だけをあつめ私のことを簡単に説明してくれたのは近藤さん。突き刺さるような視線を感じながら頭を下げると声がかかった。
「近藤さんがいうならしょうがねぇな」
「要するに雑用やってくれんだろ?」
「利害一致ってやつか」
笑いながら話すのは藤堂平助さん、永倉新八さん、原田佐之助さん。
「女ってことは夜伽の相手もしてくれんのか?」
「佐之さん、手出そうとすんの早すぎ」
「骨抜きにしときゃ裏切りはなくなるかもな」
「三人とも女性を前にはしたないですよ」
騒ぎ立てる三人をたしなめるように声をあげたのは山南敬助さん。底の見えない笑顔を向けられて思わず背すじを再び伸ばす。「近藤さんが言うのなら俺も反対はしませんが…女性がここにいるには少し無理も出てくるのでは?」
「それについては局長と副長が考えてくださった」
怪訝な顔ではっきりと問う沖田総司さんに答えたのは先程も一緒にいた斉藤一さんだ。
「彼女には男装してもらい、男としてここに置く。誰かしらの小姓にするという手もあるが、なるとしたらここにいる者の誰かだな」
「なんにせよ、少し大変な思いをさせることになるか」
心配そうに私を見るのは井上さん。平均年齢が低めのこの集団の中では年長なのだろう。
「その辺りはまた後でいい。お前には今日からさっそく仕事をしてもらうが、監視としてここにいる奴らの一人をつけておく」
土方さんの視線の先にいた原田さんは頷いて私の手を引いた。
「行くぞ」
「はい…」
楽しそうに笑う原田さんに続きながらちらりと後ろをふりかえる。刺さる視線は私を貫いてしまいそうだった。