襖の向こうへ行ってしまった山崎さんにあわてて返事をして沖田さんに向き直るけどぶっすぅと頬を膨らませて目もあわせてくれない。
「沖田さん、どうしたんですか本当に」
「別に、なんか気に入らなかっただけ」
いや、だから何に対してですか…。
雑用がいなくなったらまた自分達でやらないといけないのが嫌?急に出てきた平隊士が生意気な…みたいなこと?それとも、
「あの、自意識過剰なのかもしれないですけど、もしかして私がそういうところで働くのが嫌って思ってくれてたり…」
おずおずと少し冗談っぽく笑っていうと、沖田さんは一瞬驚いた顔をしてからいつものにやにやとした顔になった。
「うん、そうだね。自意識過剰だ」
「で、ですよね…」
「でもその通りかもしれない」
「え…わっ!?」
急にぐいっと手首を引かれて気がついたら腕の中。ぎゅうっとちょっと苦しいくらいに私の体を締め上げて唇が首筋にあてられ、ぞくりとした。声が震えないように、一度唾を飲み込んでから口を開く。
「お、沖田さん…?」
「君って、結構鈍いっていうか危機感がないというか…自分でもよくわからないけどどうしてか君をこうして腕の中に閉じ込めておきたくなるんだよね」
沖田さんがしゃべるたびにかすめる唇に小さく震えるとより強く腕の中に閉じ込められる。
「それは、告白…ですか?」
「うーん、そうかもね?」
そうかもね、って…。
うるさく鳴っている心臓を落ち着けるように大きく息を吸うと肺いっぱいに沖田さんのにおいが広がってまたどきっとする。
「とにかく、離してくださいっ」
「ん?嫌」
「沖田さんっ!」
ぐぐっと手で押し返してみてもこうもしっかり捕まえられていては逃げ出せないどころかびくともしない。