私がいた場所。

「あつ…」
ばさばさと袴をつまんで中に風を送り込む。
エアコンも扇風機もないこの時代の夏、乗りきれるのかなぁと額の汗を拭う。あれだけ食べ物には火を通すようにとか井戸の水をそのまま飲まないように言ってるのに暑さに負けて飲んでしまった隊士たちは腹痛で倒れている。
「せめて、水浴びだけにすればいいのに…って私もしたくなってきた」
ごろごろと畳の上を転がりながら呟いた声は開ききった襖をぬけて外に漏れていく。
最近はもう必要ないと判断したのか、単にめんどくさくなっただけなのか監視はほとんど無くなっていた。その代わりといってはなんだが私の部屋は休憩所というか暇潰し所になっている。大抵部屋に居るため、巡察の時の話を聞かせてもらったり、お土産を買ってきてもらったり。
そういえば今日は誰も来ないななんて思いながら、打ち水でもしようと井戸へ向かった。