私がいた場所。

ふと筋肉質な体に目を向けるとそれに気づいた永倉さんがぐっと力を入れてより筋肉を浮かばせる。
「すごいですね」
「まぁな、剣術一筋で鍛えたこの筋肉、どうだ?触っとくか?」
「はい」
「うわっ、お、おい!」
浮き出ている腕の筋肉に触れると思ったより堅くてずっしりしている。永倉さんは女の人に触られるのに慣れていないのか、目線を泳がせている。
すすっと腹の方に手を伸ばして軽く押してみてもびくともしなくて壁みたいだ。
何個に割れているんだろとぺたぺたさわっていると永倉さんに手を掴まれてしまった。
「おい、俺も男だぞ?」
「知ってますよ?」
「…はぁ~。屯所じゃなきゃ襲ってるっつうの。俺のことなめすぎじゃねぇ?」
「そんなことないですよ。さっき沖田さんにからかわれたからって怒ったりもしてないですよ」
「…女ってこぇ~」
「なんですか?」
にっこり笑うと永倉さんは頭の後ろをがしがしと掻いて立ち上がった。私の手は掴まれていたままだったから自動的に私も立ち上がる。
「話ききたいんだろ?さっき山南さんにきいた。俺の部屋にまとめてある読みもんがあるからこいよ」
「そういえばそうでした。ありがとうございます」
手をとったまま歩き出した永倉さんの背を見てくすりと笑うとなんだよ、と不貞腐れたように振り返られる。
「いえ、春画は隠しておいてくださいね」
「…ぐぅっ…くっそおぉ…」
「私、永倉さんのこと結構好きです」
「俺もだよ!はぁ…」