屯所に戻った頃には日が昇りかけているくらいの早朝だった。
幹部のみんなが出てきて最後に土方さんが出てきた。
「山南さん…」
静かにつぶやいた土方さんの声にみんなも顔を歪めていて私は目の奥が熱くなるのをどうにか抑え込んだ。
「一ついいですか?」
「なんだ」
「介錯は沖田くんにお願いできますか?」
「…総司」
「はい」
わかっていたように返事をした沖田さんにも何とも言えない表情の山南さんにも胸が苦しくなった。
そこからは淡々とことが進んでいって目にたまった涙でよく見えないうちにすべて終わった。
山南さんの全てが、終わった。
平隊士たちが起き始めるころにはもう片付けられていて私も部屋に戻された。昨夜働いた分の休みが出たからだ。
それでも私は眠ることなんてできるはずもなくて部屋の隅をぼーっと眺めていた。たまに襲い掛かってくる無力感や虚しさに苦しくなる。
「東條」
「…山崎さん?」
音もなく天井裏から出てきた山崎さんに目を向ける。
「目ぇ、真っ赤やな。ちょお待っとき」
くしゃりと髪をなでられて従うようにうつむくと山崎さんは水で濡らした手拭いを持ってきてっくれた。
「冷やしとかんと腫れるで」
「ありがとうございます」
ひやりとした冷たさが熱を帯びた目元には心地よくて息をついた。
「ま、終わったことや。切り替えて行かんとな」
「…わかってます」
わかっていはいるけど受け入れることは難しい。それに、そういってる山崎さんだって表情はいつもより少し硬い。
「なぁ、一つ頼まれてくれんか?」
突然の言葉だったが珍しく薄く開いた彼の目に私はゆっくりと頷いた。

