馬の足音だけが耳に響いて同じような早い感覚で心臓が脈打つ。
手綱を引く手がしびれてきたころに月に照らされた分かれ道が見えた。
横を流れる景色がゆっくりになって私と沖田さんは馬を降りると目をふさぎたくなった。
「どうして…」
「…」
分かれ道の手前、そこにはまるで私を待っていたかのように山南さんがいた。
「お迎えですか。この二人を私のところに向かわせるなんてさすが土方くんですね」
くすくすと笑うほどに落ち着いている彼とは対照的に私のほうが思いつめた顔をしていたのか目が合うと眉を八の字に下げられた。
「山南さん、これで…いいんですか?」
それまで静かだった沖田さんがやっと口を開いて沖田さんもこの状況に不満なのだとわかった。
「いい…とは、この期に及んで道を選ばせてもらえるのですか?」
「だって山南さん、俺たちがここまでしか追ってこないこと気付いていたでしょう?」
何も言わずに薄く笑いを浮かべた山南さんに私は目を見開いた。
どうしてわざわざここで止まってしまっていたのかと思っていたが、わかっていてここで私達を待っていたというのか。
「ただの予想ですけどね」
「だったらなおさら!なんでっ…先に進まなかったんですかっ…!?」
「生きていても意味がないからですよ!!」
急に荒々しくなった彼の声にびくっと肩を揺らす。
沖田さんは何を考えているのかわからないくらいに無表情で私は一瞬彼が何を言ったのかわからなかった。
「い、みがないなんて…」
「意味がないんです!私の腕はもう使えない!新選組のみんなと共に戦えない…伊東さんという優秀な参謀もきて私が新選組にいる意味はなくなりました」
「だから、こんなことを?」
「ええ、ですがやはり私は新選組から離れられないことがわかりました。どうしても足がここから先へは進みませんでしたから」
穏やかにもどった口調はいつも通りの彼で表情もどこかすっきりしていた。
「だから、そこで死なせてください」

