「はい!おまちどうさん!」

どんっと勢いよく私と斎藤さんとの間に団子と大福、それにお茶二つが置かれてびくっとすると後ろには満面の笑みのお鈴ちゃん。

「それじゃ、ごゆっくり~」
「ありがとー、お鈴ちゃん」

最後にもう一度にっこり笑うと彼女は暖簾の向こうへ行ってしまった。

「大福か」
「あれ?団子のがいいです?」
「いや、久しぶりに食べる気がしてな。たまには悪くない」

一口大福を口に含んだのを見て私も団子をかじった。町をゆく人々で目の前は賑わっていて少しうるさいくらいだ。

「で、総司のことはどうなんだ」
「ぶふっ…!!」

思わず団子を吹き出してしまって斎藤さんに嫌そうな顔で見られた。

「げほっ…ちょ、そんな汚いものを見る目はやめてください」
「悪い、無意識だ」

そのほうがひどい。
この扱いはひどいけど信頼関係の上だと思う…から許そう。

「はぁ…そうでした。そのことも話すんでした」

ずずっ…とお茶をすすってどうやって話そうと考えてみる。

「難しそうな顔をしていないで思ったことだけ言えばいい」
「斎藤さんのそういうところ好きです」

また変な目で見られたのはおいといて、とりあえず言われたように思ったことを口にした。

「多分避けられてるんです」
「何故?」
「わかりません…」
「いつからだ」
「伊東さんがくる少し前くらいから」
「そういえば、以前はお前のところに行こうとするとよく総司がついてきたりしていたな」


そうだったのか、それは知らなかった。斎藤さんと沖田さんが一緒にいるのをよく見ていたから勝手に二人は普段から一緒にいるものなんだと思っていた。もちろん、信頼しあっている仲であることには変わりないだろうけど。