しばらくして池田屋で捕り逃がしてしまった奴らが動いていることが分かった。そして、会津藩から正式に要請が下ったことにより私たち新選組も出陣することになった。
「ちぇっ…俺らは留守番かよ」
「平助はまだ傷が開くからでしょ?俺はそんなこともないのにだからね?」
「けどさー…左之さんも新八も椿も行っちまうからつまんねぇんだよなぁ」
「俺も近藤さんと椿がいないのはちょっと寂しいかな」
「二人は池田屋で十分活躍しましたし、また次の機会には出られますよ」
「……山南さん、もちろん山南さんも一緒にですよね?」
「…ええ、そうですね。そうなると、いいですね…」
「…」
目を伏せて自室へ戻っていく山南さんを平助さんと沖田さんの二人は複雑な表情で見ていた。






 





一方私たちといえば伏見奉行所と会津藩邸をたらい回しにされ、隊士たちの疲労は心身ともに積もっていた。
「どこに行っても通達が来ていないだの本当に要請をうけたのかだの疑いやがって!!」
「落ち着け、新八」
「左之は頭にこねぇのかよ!?こんな扱いでよ!」
「落ち着けって…椿もいるんだぞ」
「私もお気持ちはわかりますので、気にしないでください」
結局新選組は予備兵扱いとなり九条河原で待機することとなった。もう日も暮れてきたし今日はここで野宿になるのだろう。
「斎藤はどうなんだよ。今回の対応で頭にこねぇか?」
「仕方ないだろう。俺たちのような壬生狼とともにいていい噂など立たぬのだからな」
「そうかもしんねぇけどよ…」
口ごもった永倉さんの肩を原田さんがぽんっと手をおくと永倉さんは大きく舌打ちをして不機嫌そうな顔のまま押し黙った。
きっとここにいる全員同じ気持ちなのだろう。
正式に要請が下ったということで士気も上がっていたのにこれではだだ下がりだ。