「俺は女ってェのの幸せは普通に結婚して平和に暮らすことだと思ってんだ。お前は…」
「私はここから出たりしないですよ」
続けようとした原田さんの声を遮って私ははっきりと告げた。彼も私がそう返してくることを予想していたのかあまり驚いてはいなかった。
「お前はそう言うって多分わかってた」
少しだけ悲しげに目を細めると原田さんは部屋を出て行った。
もし…もしも今の問いを池田屋や島原の前にされていたら少しは迷っていたかもしれない。
でも私の手はもう汚れてしまったから。
新選組の一部となってしまったから、私はきっとすべての戦いが終わっても自分の幸せを望んではいけないのだと思う。
私には殺した人、助けられなかった人の命を背負うこともできはしない。
それでもここから出て行こうとも思わないのはこの新選組が、新選組のみんなが好きだからだと思う。ずっと前から私は彼らに魅せられているのだ。


果てるときは彼らのためにと思うことくらいは許されるだろうか…。