「希子さん」


赤井家を後にしようとした私を呼び止める声。


振り返るとそこにいたのは、結城のお母さんで、


「これ、あなたに」


差し出されるケータイ。


それは紛れもなく結城のケータイ…


どうして私に渡してくるのかわからなかった。


渡すなら普通彼女である、あの子のはず


「私は受け取れません…」