シオン【完結】


「遼佑、そう言えば宿題持って来た?」


久美は祥太郎から俺に視線を移すと、意地悪い瞳でそう尋ねる。

俺はわざとらしく、「あ!」と声を出して忘れたアピールをした。


「忘れてたわあ!」

「つか、昨日りょう作文なんてしてなかったじゃん」

「まあな」

「え?何々。祥君、遼佑の家に泊まったの?」


久美は首を傾げて問いかけて来たから、祥太郎はそれに頷く。


「りょうの母ちゃん、まじで料理うまいんだよな」

「そうか?普通だって」

「そんな事ない。俺の親は下手ではないんだけどな~」

「絶対それ言うなよ」

「うん、言わないけど」


ならよろしい。
祥太郎の母親…悲しむからな。


葬式で見た祥太郎の母親は、泣き腫らしていて憔悴し切っていたから。



「いいなあ~、楽しそうで」


二人の会話に混じる事が出来ない久美は少し不満そうだ。
頬を膨らませていじけている。